溶射とは金属・セラミック等をガス・電気等の熱源で溶融し、母材に吹き付けて皮膜を形成させる技術です。防食溶射の場合、一般に鉄よりも電位的に卑な金属である亜鉛、アルミニウム、亜鉛・アルミニウム合金、アルミニウム・マグネシウム合金又その他の合金が使用されます。JIS・ISO規格の「防食溶射」では、構造物の架設環境に応じた溶射材料、対応年数に応じた皮膜厚さを調整できます。
防食溶射の適用事例は、橋梁、空港進入灯、水門、化学プラント、タンク、配電盤、屋外キュービクル、風力発電タワーなどです。
特に塩害の厳しい海岸付近では、高耐食性を示すアルミニウム又はアルミニウム・マグネシウム合金溶射皮膜に、シリコン樹脂のシールコートを施した製品が効果を上げています。また、化学工場での薬品タンク内面にはステンレス、ニッケルクロム、ハステロイの溶射が極めて優れた効果を上げています。
【溶射の特徴】
1. |
材料の範囲が広い。 |
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◎ |
吹き付ける材料(溶射材)に金属、セラミックス、プラスチック、サーメットなどが用いられる。 |
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◎ |
被施工物(基材)は主に金属だが、セラミックス、プラスチック表面にも施工できる。 |
2. |
橋梁、鉄塔などの大きな被施工物にも適用できて、現地での施工が可能である。 |
3. |
厚い膜が比較的簡単に作製でき、他の表面処理法と比べて成膜が速い。 |
4. |
基材に与える熱の影響が比較的少なく、変形や歪みを起こしにくい。 |