技術名:
海岸部などの厳しい環境下における製品長寿命化に寄与する溶射技術溶射による長期防食
溶射とは表面処理技術のひとつであり、各種金属やセラミックを瞬間的に溶融したものを素材表面に吹き付け、皮膜を形成させる加工技術である。過酷な使用環境においてその効果は顕著に発揮され、素材の延命化によるライフサイクルコストの低減やメンテナンスフリー化に大きく貢献することができる。
鉄鋼構造物などの腐食を防止するために、亜鉛、アルミニウム、亜鉛-アルミニウム合金、アルミ-マグネシウム合金などで素材を被覆して、長期的な防食効果を発揮させるものである。特に、海上、海岸部等の塩害によって腐食が発生する環境下においても、この技術によって素材を長期的に保護することができる。使用環境に応じて使用材料や溶射膜厚を選定し、最適な溶射仕様を設定できる。海上及び海岸地帯では塩害に対しての耐食性を有したアルミニウム又はアルミニウム・マグネシウム合金を推奨仕様とし、内陸部では、比較的材料コストの安い亜鉛・アルミニウム合金溶射で対応する。
またクリヤー封孔処理(透明塗料)を採用することにより、塗替えの必要の無いシステムを構築した。 都市部等で、どうしても景観のために着色をしなくてはならない箇所を除き、溶射皮膜の上にクリヤー封孔処理を推奨する。着色封孔処理をすると、従来の塗装仕様と同様10~15年毎に塗替えをしなくてはならないので溶射仕様のメリットが減少する。クリヤーの封孔剤を溶射仕様に採用することで、20~30年毎にわずかな溶射の補修をすることでライフサイクルコストを激減させることが可能になる。また、封孔処理を1~2回に抑えることにより、従来のような5~6回の塗装費の削減を可能にした。 北九州ではクリヤー封孔処理を施した溶射仕様は未だ採用されていない。 |